Work & People

資源系職種について

資源系技術職の3つの職種

資源系には、探査、採鉱、選鉱の3職種があります。

探査:鉱石を探します。

露頭やボーリング・コアといった限られた情報を用いて地下に存在する見えない鉱石をモデル化し、鉱量・品位という、開発や長期安定操業に最も重要な情報を提供する。

採鉱:鉱石を掘り出します。

超実物大の3Dパズルを解くが如く鉱体に坑道をアクセスし、安全かつ安定的・効率的に鉱石を可能な限り残さず掘る。

選鉱:掘った鉱石から有価鉱物を濃縮します。

ミクロの鉱物粒度を見極め効率的に鉱石を破砕・磨鉱し、泡を制御し界面活性によって、有価鉱物を最大限に分離・回収する。

個人の技術もさることながら、大勢の人と協働するのでマネージメントスキルも重要です。

資源事業の魅力とこれから

資源事業部長 木村 信彦

自然から獲物(鉱石)を得ることからくる“大漁”という本能的な満足感、地球を相手にしている迫力とダイナミックさは他にない資源事業の魅力です。そして対象の条件が一定ではなく、地中という見えない環境であるという困難さを知恵と創意工夫で解決するのは大きなやりがいと言えます。 鉱山開発・操業は環境にダメージを与える宿命にありますが、将来的にも鉱石原料は絶対に必要です。だからこそ、私たちは環境への負荷を少なくし、責任ある鉱山開発・操業を行うべきと考えます。
そのために、これまで培ってきた環境保全技術や住民支援の形を洗練・発展させ、取組中の案件に活かし、次世代の人々が安心できる、“地球を笑顔にする”資源の確保を実現していきます。
【写真:20年前の私(前列左から3人目)】

社員メッセージ

サンタルイサ鉱業株式会社 鉱山技術室 探査担当

2020年入社 生命環境科学研究科 地球科学専攻

⼊社の理由

大学時代に学んだ地質学を大規模なプロジェクトに活かせる資源開発業界に興味があった。海外に自社操業の鉱山を所有している点と、上司や先輩の魅力的な人柄に惹かれ、入社を決めた。

現在の仕事

ペルーのワンサラ鉱山・パルカ鉱山での探鉱業務を担当している。主に、ボーリング掘削計画(試錐計画)の立案、地質図面の作成、新規探鉱エリアの有望性評価などを行っている。

ワンサラ鉱山およびパルカ鉱山で鉱石を見つけること、そして安定した品位の鉱石を選鉱場に供給することが私と探査課ペルー人スタッフのミッションです。鉱石を見つけるための試錐計画策定や、予算に合った品位の鉱石を供給するために、鉱石の配合比率の検討等を行っています。鉱石の品位管理についてはペルー人スタッフと共に定期的に現場を巡視し、鉱石の特徴を把握しています。鉱石品位に異常があった時には、探査課だけでなく採鉱課や選鉱課とも一緒に解決策を検討しています。スペイン語でのコミュニケーションに苦労することもしばしばありますが、ペルー人スタッフと協力して問題を解決できたときには大きなやりがいを感じます。

私が担当した業務の一つに「新規探鉱エリアの評価」があります。ワンサラ鉱山およびパルカ鉱山には新規探鉱エリア、すなわち大きな鉱量獲得の可能性があるものの試錐の情報が少なく、未だ地質構造が明らかになっていないエリアが存在します。この中の1つのエリアについて、試錐結果から地質図を作成し、有望性を評価して探鉱方針を定めました。限られた試錐情報を基に地質構造を推測することにかなり苦労しましたが、上司やペルー人スタッフの協力により遂行することができました。鉱山という大きな現場を動かすためにはチームプレーがとても大切だと実感しました。

日々の業務で意識していることは「鉱山の全体最適を図ること」です。私は業務上、探査課スタッフとコミュニケーションを取ることが多いのですが、他部署に対する不満を耳にすることがあります。探査課スタッフの意見を反映させることも大切ですが、私は探査課の意見のみを聞くのではなく、他部署や他分野のスタッフの意見も取り入れ、部署間の懸け橋となって鉱山全体で最も効率的な解決策を検討するようにしています。全体最適を考える際には日本で学んだ鉱山業務全般の知識・経験が役立っています。

私は操業鉱山の地質技術者として、鉱山の寿命を最大限延ばし、当社の利益確保に貢献したいと考えています。この大きな目標に対して、日本人スタッフとペルー人スタッフが一丸となって業務に取り組んでいます。まずは操業鉱山の地質技術者として信頼を得ること、そして将来的には新規探鉱案件の調査も担当し、当社の鉱山事業の発展に貢献していきたいです。

キャリアパス

⼊社1年⽬
神岡鉱業 鉱山部(実習)
探査だけでなく採鉱や機械保全についての現場実習を経験し、鉱山業務全般についての理解を深めた。このときの経験が鉱山の全体最適を考える際に活きている。
入社2年目
神岡鉱業 鉱山部
試錐工事の施工管理や排水処理などを担当し、様々な業務に積極的に挑戦した。若い頃から現場を任され、大きく成長した実感がある。
入社4年目
ペルー・サンタルイサ鉱業
鉱山技術室 探査担当
ペルーでの3か月間の語学研修を経て、ワンサラ鉱山で探鉱関連の業務に従事している。また、ペルー国内の新規探鉱案件調査や国外の地質巡検にも参加し、知見を広げている。

サンタルイサ鉱業株式会社 鉱山技術室 採鉱担当

2013年入社 工学府 地球資源システム工学専攻

⼊社の理由

大学では資源開発分野の研究をしており、海外の鉱山で働きたいと考えていた。ペルーに自社操業の鉱山を所有している点が魅力だった。

現在の仕事

ペルーのワンサラ鉱山とパルカ鉱山の採鉱課の計画立案、操業管理やコスト管理を担当している。

ワンサラ鉱山とパルカ鉱山から採掘する鉱石の質を維持しつつ採掘量を達成することが採鉱担当の私の職務です。例えば、ワンサラ鉱山では南北約3,500m、上下方向約800mに及ぶ坑内を3次元的に把握し、採掘計画を立案し日々の操業管理を行っています。
探査課や技術課と協働し、メイン坑道や各掘場へのアプローチ坑道をどう設計し掘削するか、どのような採鉱法を適用するかなど、環境安全最優先で、効率的に鉱石を採掘できる方法を立案し、協議した上で実行しています。
鉱山現場勤務時は毎日ペルー人の採鉱課長やスタッフたちと一緒に坑内を巡視し、採掘に伴い日々変化する岩盤状態を確認しつつ安全管理および操業管理をしています。

探査課のボーリング調査により鉱石の分布を3次元的に把握できてはいますが、不確実な部分もあります。採鉱課ではそのような地下の鉱床を対象として、採掘計画を立案し実行することが必要となり、それが採鉱課の仕事の醍醐味でもあります。
採掘計画には、岩盤状態や通気などの坑内環境はもちろん、必要な重機、人員の調整などを考慮することが重要です。限られたリソースの中で、計画通りにアプローチ坑道を掘削できるのか。そして順調に鉱石を掘り出すことができるのか。いつも心配事が尽きませんが、計画していた採掘する鉱石の質と量を確保できたときには、大きな達成感があります。

仕事をする上で大切にしていることは、現場を自分の目で見ることです。データや数字だけで判断するのではなく、坑内の状況を現場巡視により確認しています。ペルー人スタッフと現場を見ながら話し合うことで認識のズレを減らすことができると思っています。
また、採鉱課として、鉱石を選鉱場に安定的に供給するためには、中長期的な視点で計画することが重要です。ペルー人スタッフは、“目の前の鉱石”を掘ることだけを重視しがちですが、数年後の採掘を見越した準備を同時に実施していくことも必要です。その視点を共有するのは考え方の違いや言語の壁もあり苦労していますが、お互いに納得できるまでコミュニケーションを取り続けることが大事だと考えています。

私は、サンタルイサ社では採掘計画の立案から操業管理まで一任されており、裁量権の大きさを感じています。日々の職務においては、発想や思考パターンの違うペルー人スタッフに自分の考えを伝えるため、スペイン語を駆使した口頭での説明に加え、グラフや図面を用いて定量的に説明し、課題解決しています。
現地ではペルー人スタッフと日本人スタッフの関係がとても良好で、私の意見に耳を傾け反映してくれる点は非常に働きやすいです。今の経験を活かし、これからは新規鉱山を立ち上げる仕事にもぜひ携わりたいです。

キャリアパス

入社1年目
神岡鉱業 鉱山部(実習)
現場作業長と共に坑内を巡視し、実際の採掘の主作業(穿孔、発破、運搬、支保)や採掘の準備作業について学んだ。
入社3年目
神岡鉱業 鉱山部
地下利用施設の空洞掘削工事の施工管理および環境、安全衛生管理を担当した。資材準備や人員配置を考えた経験が、後のペルーでの採鉱操業管理につながった。
入社7年目
ペルー・サンタルイサ鉱業 鉱山技術室 採鉱担当
コロナ禍によるリモートワーク中は操業データの解析に力を入れた。休日はリマでペルー人とスポーツを楽しんでいる。

サンタルイサ鉱業株式会社 鉱山技術室 選鉱担当

2018年⼊社 創造理工学研究科 地球・環境資源理工学専攻

⼊社の理由

大学時代に鉱山の廃水処理技術について研究しており鉱山操業に興味があった。三井金属はペルーに議決権ベースで権益100%のワンサラ鉱山を保有しており、操業改善に携わりやすい環境が魅力だった。

現在の仕事

ペルー・ワンサラ鉱山の選鉱場にて工程改善を行っている。具体的には、操業データを解析し金属の回収率が向上するための最適な工程条件を探して、現場に反映している。

私が担当するのは、ペルー・ワンサラ鉱山とパルカ鉱山で採掘した鉱石から、鉱山現場で金属(銅・鉛・亜鉛・銀)が含有されている部分を濃縮して精鉱を作る「選鉱」業務です。鉱石には、金属が入っていない部分も多いので、そのまま日本に運んでくると物流をはじめコストが膨大にかかります。そこで、選鉱工程により不要分を取り除き金属を濃縮し鉱山の経済性を向上させます。
物理・化学の知識をベースに分離技術を使い、操業・ラボ試験データを解析して得た最も効率的な工程条件を現場に反映させることが私の役割です。ペルー人課長や現地メンバーとのコミュニケーションが仕事の肝だと感じています。

金属の回収率を上げたときの改善例として、選鉱場で鉱石を処理する水のpHの制御があります。24時間モニタリングされたデータを確認すると、求める基準値に収まっていないことがありました。そこで、現場へ基準に収まるよう指示したのですが、実行に移してもらえませんでした。
そのとき、協働して改善を進めていくペルー人スタッフに、なぜその値に制御することが大切なのか、操業に与える影響をコストメリットと合わせて論理的に説明しなければならないと気付きました。そこで、「実験の結果、これくらいのpHの数値になると、これだけのいい回収率が出ています」とグラフを使って示し、相手に理解しやすく説明した結果、ペルー人スタッフが理解して協力してくれるようになり金属の回収率を向上させることができました。このときの経験から相手が納得するように指示することを心掛けています。ちなみに、ペルーでは英語があまり通じず、スペイン語でコミュニケーションを取る必要があります。

ワンサラ鉱山は、標高4000mに位置しているため、高低差のある選鉱場での巡視は体力を要しますが、選鉱場の工程を理解するために欠かせません。日々、色々な問題が発生しますので、現場で見た機械の状況や浮選の状況等を現場でナショナルスタッフと共に議論し、一日でも早く改善ができるようにコミュニケーションをとっています。
選鉱工程だけではなく、他部署(地質・採鉱・設備技術・環境等)の方々と一緒に仕事をする機会も多いため、伝えたいことを上手く伝えられずに苦労することも多いですが、データや図を用いて説明したり、改善で得られる金額等を試算したり、結論から話したりすることで的確に伝えられるように気を付けています。

若手の自分に「まずはやってみなさい」と任せてくれる上司や先輩にも恵まれ、日々成長しています。入社前に感じた社員の方の人あたりの良さは、大きな仕事をチームで達成するからだからかと、仕事をしながら再度実感しています。
これからも、選鉱という仕事を通じて、日本の製錬所に安定的に精鉱を供給していきたい。そして、環境にも配慮した持続可能な鉱山操業を担うのが大きな目標です。

キャリアパス

⼊社1年⽬
三井串木野鉱山 赤石鉱山
採鉱課(実習)
神岡鉱業鉱山部での現場実習を経て、赤石鉱山では露天掘り鉱山での現場実習を行った。
入社1年目(11月~1月)
ペルー語学学校 スペイン語研修
3か月間、ペルーの語学学校に通い、スペイン語とともにペルーの文化と歴史も学んだ。
入社2年目
ペルー・サンタルイサ鉱業
鉱山技術室 選鉱担当
2年目にして海外赴任した。即戦力として働かなければならない環境に置かれ、成長している実感も大きい。

資源系技術職の活躍の場

鉱山の操業をはじめとして、地熱事業、資源開発コンサルタント、地下利用事業、休廃止鉱山管理といった様々な現場において資源技術者としての経験やスキルを習得し、成長できる

銅・鉛・亜鉛・銀鉱山操業 サンタルイサ鉱業(ペルー共和国)

  • 坑内掘りにより採掘した鉱石から、亜鉛、鉛、銅の各精鉱を生産し、日本をはじめとする製錬所に販売している。
  • 探査、採鉱、選鉱、環境、安全衛生、地域への貢献など鉱山に必要とされる技術を一通り経験できる。加えて、スペイン語を習得できる。
  • 【写真:ワンサラ鉱山選鉱場】

地下利用事業 神岡鉱業

  • 大規模採掘を終えた神岡鉱山の強固な岩盤を利用しスーパーカミオカンデなど地下の特性を必要としているお客様へ地下空間を提供している。
  • 探査、採鉱、環境、安全衛生などを経験できる。
  • 【写真:地下空洞開削】

金鉱山操業 三井串木野鉱山 赤石鉱山

  • 含金珪酸鉱を露天掘りにより採掘し、銅製錬所に販売している。
  • 金鉱床探査、露天掘り採掘、破砕設備メンテナンスなどを経験できる。
  • 【写真:赤石鉱山全景】

地熱蒸気販売事業 奥会津地熱

  • 再生可能エネルギーである地熱発電のために地熱蒸気を電力会社に販売している。 
  • 地熱蒸気の挙動を予測・検証することで探査技術を磨き、生産管理、設備管理なども経験できる。
  • 【写真:噴気試験中】

資源開発コンサルタント業 三井金属資源開発

  • 国内外のお客様からの要望に応じ、非鉄資源開発、地熱資源開発、岩盤評価、土壌・地下水の環境調査についてコンサルティングを行っている。
  • 鉱山開発、地熱開発、水資源開発、環境管理を経験できる。
  • 【写真:地質調査(地表踏査)】