循環型社会の実現に向けて
グローバルな経済成長に伴い、資源やエネルギーへの需要が拡大しています。その結果、廃棄物量が増加し、環境問題が深刻化しており、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄型の線形経済(Linear Economy)から、サーキュラーエコノミー(Circular Economy)への移行を中長期的に進めていく必要性が高まっています。当社グループは、資源の有効利用、廃棄物と環境汚染物質の削減に努めており、また、製品のライフサイクルにおける環境負荷の最小化を目標のひとつに、ライフサイクルアセスメント(Life cycle assessment:LCA)の導入を進め、社会からの要請に応え、持続可能な成長を目指していきます。
廃棄物・水・大気・有害物質データ
ESG データ 環境 廃棄物・水・大気・有害物質
資源の有効利用
三井金属グループでは、限りある資源の有効利用のために、廃棄物等のリサイクル原料の再生による製品製造に努めています。環境行動計画では、リユースおよびリサイクル原材料の使用率向上に向けてグループ全体で努めることを掲げています。
当社グループの金属製錬事業は、産業廃棄物からの有価金属回収を手掛けており、静脈産業につながる川下の領域まで一貫した取組みを続けています。当社グループは、亜鉛、鉛、銅の製錬をはじめ、多種多様な原料を処理する能力を備えた複数の製錬拠点を有していますが、各製錬拠点を「製錬ネットワーク」として有機的に繋げることで、多種金属混合の原料の集荷増と処理能力増へと結びつけることができました。現在、資源を最大限有効活用することで製錬ネットワークのシナジー効果の拡大を推進しています。拡大推進に向けて、材料に応じた分離精製技術の確立・進化、各工程における技術改善や既存製造設備の改良、原料の集荷ネットワークの構築・深掘りを進めています。
※国内外の鉱山・製錬会社で組織されているICMM(国際金属・鉱業評議会)が「持続可能な開発のための10原則」を提唱しています。「持続可能な開発のための10原則」は、鉱山から始まり、製錬、加工、さらに金属製品の消費、廃棄、回収、リサイクルまでを、業界全体としてサプライチェーンで管理して、循環型社会の構築を促進しようというものです。当社はICMMに加入していませんが、「持続可能な開発のための10原則」に賛同して取組みしています。
金属事業の取組み
統合報告書2023 事業ポートフォリオの動的管理/事業戦略 (4.8MB)
廃棄物の削減
三井金属グループの各製造拠点では、使用する資源の最小化と効率化により廃棄物の削減に努めています。有価物回収率の向上、梱包材の3R、製造工程の歩留まり改善などを進め、最終処分量の削減に取組んでいます。環境行動計画では、「廃棄物原単位」 を拠点ごとに設定し、廃棄物の発生抑制にグループ全体で努めることを掲げています。
大気汚染の削減
三井金属グループは 、石油や石炭など硫黄分を含んだ化石燃料の燃焼の際に発生する硫黄酸化物(SOx)、ボイラーや焼却炉といった燃焼設備等から発生する窒素酸化物(NOx)、ばいじん等の大気への排出の状況を、各製造拠点、各施設では法令や条例に則り、さらに自主基準によってモニタリングを行なっています。各拠点のモニタリング結果をグループ全体で収集し管理するとともに、排出削減の取組みや技術の共有を図っています。
化学物質の排出量削減
各拠点では、 2001年に施行されたPRTR法(化学物質管理促進法)に基づき、化学物質の排出量・移動量を集計して行政に報告しています。各事業部門、グループ会社においては、RoHS指令、REACH規制をはじめとする、お客様が求める製品含有化学物質ガイドラインにも対応しています。環境行動計画にしたがって、海外拠点も含めグループ全体で環境汚染物質の排出量削減を目指しています。今後も、環境汚染化学物質の代替化促進と回収に努め、使用量の削減・使用中止へと注力していきます。
プラスチック排出量削減
世界的にプラスチック廃棄物による環境への影響が深刻化しつつある中、三井金属グループはプラスチック廃棄物の適切な処理と資源の循環利用に努めています。
2022年度、プラスチック廃棄物の削減と資源循環を促進するために、使用と廃棄の実態を踏まえた上で、プラスチック資源循環法に基づき、プラスチック排出量の削減目標とリサイクル率向上の目標を定めました。排出量の約95%を占める国内グループを対象に、2021年度を基準年度として、2024年度に向けて排出量200t削減の2,044t、リサイクル率39%を目標として設定しました。
排出量の削減に向けて、プラスチック部材を使用する製造工程においては、歩留まりの改善による使用量と排出量の削減とともに、金属や紙など別素材への代替に取り組んでいます。梱包材では、3Rの推進や他素材の代替を進めています。また、新規設備を導入し、従来処分していた廃棄物をリユース・リサイクル可能な有価物に転換する取組みを進めています。さらに、ICT技術を活用し、廃棄物の見える化かつ作業の効率化を図ると同時に、新たな削減対策の導入検討を進めています。関東の上尾地区(埼玉県上尾市)、九州の三池地区(福岡県大牟田市)では、拠点間の連携による削減活動も開始しています。
プラスチック廃棄物排出量の削減目標
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基準年度
FY2021 |
実績年度
FY2022 |
目標年度
FY2024 |
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排出量(千t) |
2.2 |
2.1 |
2.0 |
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リサイクル率 |
33% |
30% |
39% |
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*国内連結範囲を対象。三井金属単体と国内連結子会社を含みます。
環境貢献製品の取組み
当社グループは、自社工程を含む社会全体のカーボンニュートラル達成や循環型社会の実現など、環境負荷低減に向けた取り組みに貢献する製品の創出や事業展開が、社会からの要請に応えるために不可欠と認識しております。それに従い、ライフサイクルアセスメント(Life cycle assessment:LCA)の観点で製品のライフサイクルの各ステージにおける環境影響を評価し、環境負荷低減や社会的課題の緩和につながる製品を 「環境貢献製品」 と定義し、2020年度に環境貢献製品認定制度の運用を開始しています。
九州三池地区の3Rに向けた取組み
当社機能性粉体事業部三池レアメタル工場とグループ会社の三池製錬株式会社は近隣企業と協働し、副生する塩素化合物の有効活用サイクルを確立しました。
他社の製造工程で副生され、従来は産廃業者が引き取り処理していた副生塩酸を三池レアメタル工場の原料溶解工程で活用し、新規購入の塩酸使用量を削減しました。また、この工程で副生する塩素系溶液は、これまで中和し排水として処理していましたが、三池製錬で排ガスの中和、洗浄にリユースすることで、中和剤の使用量および排水量を削減できました。一連のプロセスによって、副生する塩素化合物が最後まで有効活用できました。今後、使用比率を更に向上させ、3R活動を発展させていきます。